金の化学的な5つの特徴|純度ごとの種類や身の回りにある製品を紹介

2023.01.26

金の化学的な5つの特徴|純度ごとの種類や身の回りにある製品を紹介

「金にはどんな特徴があるの?」「金ってどんな物に使われているんだろう?」と疑問をお持ちの方へ向けて、金の化学的な特徴や純度ごとの種類、身の回りにある金製品などを詳しく解説します。ぜひ金への知識を深めるために本記事をご活用ください。

 
目次

ジュエリーなどの宝飾品や投資目的のインゴットなど、金は高級なイメージがあります。しかし、金も化学的には金属の一種です。中には「金って化学的にはどんな特徴があるの?」「ジュエリー以外には使われていないの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、金の特徴を化学的な観点から解説します。純度ごとの種類や身の回りの金製品も併せて紹介するので、ぜひ本記事をきっかけに金への知識を深めてください。

金の化学的な5つの特徴

金の化学的な5つの特徴

金は独特の高級感のある色合いや輝きも魅力ですが、化学的にも特徴のある金属です。ここでは金の特徴を化学的な視点で5つご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1:錆びない

1つ目の特徴は錆びないことです。金属は空気や水に触れると酸化して錆びが出てしまうこともありますが、金は変わらない状態を保ち続けられます。

ただし、純金ではなく他の金属が混ざった状態だと錆びやすくなります。金を使ったジュエリーが変色した場合は「合金」といって他の金属を混ぜたものがほとんどです。

2:展性・延性に富んでいる

2つ目の特徴は、展性・延性に富んでいることです。非常に薄い「金箔」が存在するように、1gの金は3,000mもの長さに伸ばせます。展性・延性の高さは加工のしやすさに繋がり、ジュエリーなどの繊細な加工にも古くから重宝されてきました。

ただし、傷はつきやすいためジュエリーでは「合金」が使われています。日頃から傷がつかないよう研磨剤は控えるなど、お手入れには注意が必要です。

3:比重が高い

3つ目の特徴は比重が高いことです。比重とは、ある物質の密度と、基準となる物質の密度の比のことです。水を使ったり、比重計を使ったりして計ります。金の比重は「19.32」と金属の中でも高いのが特徴です。鉄は「7.87」なので倍以上あることがわかります。

4:熱・電気の伝導性が高い

4つ目の特徴は熱・電気の伝導性が高いことです。金は銀や銅に次いで伝導率が高く、熱や電気を素早く伝えられます。そのため、電子機器やコンピューターの回路にも活用されています。

5:ほとんどの化学物質に反応しない

5つ目の特徴はほとんどの化学物質に反応しないことです。「王水」には反応して溶けてしまいますが、それ以外にはほぼ反応しません。この特性により、先ほどお伝えしたように酸化せずに長い間綺麗な状態を保てます。また、金属アレルギーも起きにくい金属です。

純金・合金の種類と特徴

金には純金と合金があり、それぞれの特徴に合わせて使い分けされています。ひとつずつ特徴を見ていきましょう。

純金

純金は独特の黄金色や光沢が魅力です。また、最大の特徴はその柔らかさです。しかし、アクセサリーに利用すると柔らかすぎて傷がついてしまうというデメリットもあります。

そのため、純金を目にする機会は少ないかもしれませんが、投資目的のインゴットや地金型金貨、食用の金箔などで見られます。

合金

先ほどお伝えしたように、純金は柔らかく傷がつきやすい特性があります。そのため、金に割金を混ぜて硬さを調節することで強度を増したり、加工しやすくしたりしています。合金の純度を以下の表にまとめました。

24分率の表記(K) 純度(%)
K22 91.6%
K18 75.0%
K14 58.5%
K10 41.6%

ジュエリーによく使われているのは「K18」や「K14」などです。K18には総重量の75%の金が使われています。金の純度が低くなるほどに金の含有量は低くなり、割金の色調が濃く現れます。また、金の弱点ともいえる「強度の低さ」を補えます。

カラーゴールドの種類と特徴

合金は割金によって色調にバリエーションがある「カラーゴールド」も魅力です。カラーゴールドの種類や特徴を以下の表にまとめました。

種類 割金 特徴
イエローゴールド 金、銀、銅 ・黄身がかっていて華やかな印象
ピンクゴールド 金、銀、銅、パラジウム ・肌馴染みがよく女性人気が高い
・変色を起こす可能性がある
グリーンゴールド 金、銀 ・淡い緑色
・傷に弱い
レッドゴールド 金、銅 ・ピンクゴールドより銅の含有量が多い
・硬くて加工は難しい
ホワイトゴールド 金、パラジウム ・プラチナと色調が似ているが比較的安価である

女性に人気の「ピンクゴールド」は銅で赤みを出し、銀やパラジウムでピンクに近づけています。肌馴染みがよく女性のジュエリーや時計に人気です。ただし、割金の「銅」は硬いので、指輪にした際にはサイズ調整が難しいでしょう。

また、金と銀を混ぜる「グリーンゴールド」は色調が美しい合金です。金とは思えないような青みがかった色になります。ただし金・銀共に柔らかい素材なので加工が難しい点はデメリットといえます。

身の回りにある金を使った製品

身の回りにある金を使った製品

金は宝飾品をはじめ、電子機器や金箔などさまざまな製品に活用されています。身の回りにある金を使った製品を見ていきましょう。

宝飾品

指輪やネックレスなどの宝飾品は最も需要が高い金製品です。先ほどもお伝えしたように、純金に割金を入れ強度を高めた「合金」が使用されています。K18やK14など多くの宝飾品には目立たない部分に「刻印」が刻まれているので、確認してみるといいでしょう。

電子機器

金は電子機器にも活用されています。金は電気の伝導率が高いため、電子信号を高速で伝達できるうえ、腐食にも強く安心して活用可能です。コンピューターの回路など、表面的には見えませんが金は電子機器の機能面を支えています。

金歯

金は被せ物としても利用されています。金歯は銀や銅などを混ぜた合金で作られた被せ物です。被せ物といえば保険適用の「銀歯」がありますが、金歯はコストがかかるものの以下のような金特有のメリットがあります。

  • 強度が高い
  • 噛み合わせに馴染み、密着する
  • 酸化しにくい

金箔

食品用の金箔も身の回りにある金のひとつです。金の薄く伸びる性質を利用して、1万分の1〜2mmの薄さまで伸ばします。和食やお菓子の装飾に使われているのを目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。金箔は料理の他にも漆器や陶器といった工芸品にも使われています。

まとめ

金は宝飾品としての輝きや色合い以外にも化学的な特徴が複数あり、電子機器や工業製品、金歯などに幅広く活用されています。純金は柔らかいため、強度を高めるために合金が使われているケースもあります。

本記事で解説した内容を振り返っていただき、家電製品の部品や料理の飾りの金箔など、身近な金にも目を向けてみてください。